デンマークの自転車所有台数は、100人あたり78台、つまり、約1人1台。保有率が第6位の日本では、近距離の移動手段として使用している人が多いようですが、第3位のデンマークでは、平らな地形や道路整備がすすんでいること、電車などの交通機関との連携という自転車に好都合な環境もあって、近距離はもちろん、長距離を自転車で移動することもよくある話なんだそう。
「街を散策していると、かなりたくさんの自転車と遭遇します。あらためてデンマークは自転車大国だなぁって実感しました!」
と、デンマークを旅して自転車事情を体感してきたTさん。普段東京でも自転車に乗っているということで、コペンハーゲンでもレンタサイクルしてきたそう。
「ほとんどの道には自転車専用レーンが整備されていて(A)、日本のように怖い思いをして車道を走る必要がなかったし、標識や信号も自転車専用に絵で指示があって、現地の言葉がわからなくても意味が理解できました(B)」
コペンハーゲンのレンタサイクル「シティバイク」は、旅行者だけでなく、市民にも非常にポピュラーです(C)。市内の各地に駐輪ポイントが設けてあり、どのポイントで返却してもOKという便利なシステム。しかも、デポジット制で返却時にお金が返ってくるので無料で借りているのと同じことになるのです。現在市内で2400台以上が稼働していますが、スポンサー企業が自転車を購入し、それを広告媒体としても使っているので、自転車そのものの品質もメンテナンスされているようです。
「また、デンマークでは、電車やフェリーに当たり前のように自転車を乗せられるんです。電車には専用車両が用意され、わかりやすく表示してありました(D)。だから、駅には愛車と一緒に電車を待つ人もちらほらいて。長距離列車なので、自転車と一緒に旅をすることもできます。日本みたいに、前輪をはずしてバッグにいれて、という手間もいらず、そのまま乗せられるのでいいなあ、と思いました」
自転車のタイプとしては、いわゆる「ママチャリ」かマウンテンバイクが多いとのこと。そのためか、スピードを出す自転車もほとんど見られず、無謀な運転をする人は少ないようです。ルールへ対するひとりひとりの意識の高さも、デンマークが自転車大国である所以なのでしょう。
デンマークでよく見かけるもう1つの自転車が「クリスチャニアバイク」とよばれる前に荷台がついたタイプの自転車(E,F)です。これは、もともとデンマークにあった「クリスチャニア」という独自のコミュニティから生まれたもの。このコミュニティは、自由に自然に生活することを是とする「フリータウン」というテーマを掲げて自動車の往来を禁止してきました。そのため、大きな荷物の運搬や人の移動のためにこのような自転車が生まれ、今ではコペンハーゲンの街にも普及していのだといいます。
「クリスチャニアバイクで野菜を運んできて、そのまま荷台をお店にしている行商の人も見かけましたよ(G)。そんな風景も、なんだかかわいらしいですよね。あと、クリスチャニアバイクに似たようなもので、後ろに子乗せカートがついた自転車もよく見かけましたよ(H)」
ちなみに、デンマークのガソリン代は日本円でおおよそ160円〜200円/ℓ。車の車体価格には、約200%の税金がかかります。つまり、デンマークの人にとって「車は便利だけどとってもお金がかかるもの」という認識です。そのため、手軽に買うことができ、移動にも便利で地球にもやさしい自転車は、オンでもオフでも、さまざまなシーンで活躍しているのです。
生活に密接な存在となると、利便性が優先でデザイン性はいまいち? というと、決してそんなことはないようです。
「現地の友達から情報を入手してデンマークで最もイケてるという自転車屋さん『CYKELMAGEREN(http://www.cykelmageren.dk/)(I)』にいってきました。自転車はもちろん、バッグや小物、自転車のパーツなど品揃え豊富なんですが、なんといっても商品の並べ方がオシャレ! まるでギャラリースペースのような空間の使い方で、観ているだけでも楽しい場所でした(J)。あと、日本ではなかなか見られないようなかわいい配色の自転車もあって、思わず買いたくなっちゃいました(K)。こういうセンスは、さすがデンマークというところですね。商品スペースの奥は、修理や自転車を組むためのアトリエスペース(L)。この日も、腕にタトゥーの入ったかっこいいお兄さんが作業されていて、写真撮らせてくださいってお願いしたんですけど、はずかしがって隠れちゃいました(笑)」
自転車は、ナイス!! なデザインのプロダクトであり、移動手段であり、ビジネスツールであり、そして旅を共にする相棒であり……こんな生活のさまざまなシーンに自転車が密着している「自転車大国デンマーク」を支えているのは、地形の利、行政サポートに加えて、大事なのは自転車を愛する国民性やセンスなのかもしれません。
(text: Orika Uchiumi)
![]()
![]()
![]()
![]()
![]()
![]()


