畑中:この「ジョーカー」という試みは面白いですね。ルール違反のライダーにピエロに扮した人が注意する、というプロジェクト。警察に「こら!」って怒られるのは楽しくないけれど、これなら楽しくルール&マナーが伝わりそう。
モーリッツ:そうですね。でもタブロイド紙の「なんで市はこんなバカげたものにお金を使ってるんだ!」なんていう批判記事もありましたが。ミュンヘンは保守的なので。でもうまくいったので、他の都市でもやってみようと思っているんです。
X2:他にはどんなプロジェクトがあるんですか?
モーリッツ:大盛況なのが「バイシクルナイト」。普段は自転車が走れない環状道路を夜、自転車のために解放して、みんなで走るんです。他には、「München sucht den Radlstar(自転車スターを探せ!)」。自転車乗りのポートレート撮影イベントです。
畑中:ウェブサイトに載っていましたね。
モーリッツ:ええ。自転車乗りのポートレートをフォトグラファーに撮影してもらって、ウェブで誰がいいか、誰が自転車スターか投票してもらうんです。これらの写真はキャンペーンに使っています。写っているのがモデルではなく、本当の自転車乗りたちであるところがよいんです。
畑中:これはとても面白いですね。何人くらい撮影したんですか?
モーリッツ:1000人くらいと思います。これはミュンヘン市内の何カ所かで撮影したんですが、撮影しているときに一緒に自転車のメンテナンス(安全)チェックもして、プロモーションイベントと啓蒙プロジェクトの両方を一度に行ないました。
畑中:このポートレートコンペを東京でも行なって、投票の多かった写真のライダー3人がそれぞれミュンヘンと東京を訪ね合ったらいいですね。それぞれの自転車事情をリサーチし合って。
モーリッツ:そうなったら面白いですね。ぜひ東京でもやってください(笑)。
畑中:このキャンペーンの運営資金はどのようになっているのですか?
モーリッツ:ミュンヘン市です。
畑中:東京都ではそうはいかないですね(苦笑)。
モーリッツ:ミュンヘンでは、いろいろ大きな自転車関連のイベントも開催しています。エキスポやライドイベントなど……。自転車レーンなども含む市の自転車関連予算450万ユーロ(約5億円)のうち、2割にあたる90万ユーロ(約1億円)がこういったプロモーション活動に割り当てられています。
畑中:うわぁ、うらやましいですね!
モーリッツ:東京都はそういったイベントのサポート等はしていないのですか?
X2:都が行っているものはないですね。
モーリッツ:なんで東京都は積極的にやらないんでしょうか? ミュンヘンが自転車政策に積極的なのは2つの理由があります。1つは自動車に変わる移動手段として。ドイツ第3の都市であるミュンヘンは自動車が多く、渋滞、大気汚染などの問題を抱えていました。その解決策が自転車です。第2に、市民の健康を促進する手段として。ジムにいったりトレーニングの余計な時間をとらなくても、自転車なら日常生活の移動をしながらエクササイズができる。自転車を促進することで市民の生活の質(QUALITY OF LIFE)が向上します。これは、住んでいる人にとっても、訪れる人にとっても、都市が魅力的になるために、とても重要なことです。
畑中:東京の場合はいくつもの都市が集合した非常に大きな都市であるのが、そういった施策を行うのに難しい点かなとも思います。
モーリッツ:確かにそうかもしれませんが、それはあんまり理由にならないと思います。例えば、コペンハーゲンで行われた自転車都市会議には、メキシコシティも参加していましたよ。東京より大きな都市ですよね? メキシコシティは市全体ではなく、まずそれぞれ市内のローカルなエリアから自転車施策をスタートしていました。
畑中:なるほど、そういう方法もあるかもしれないですね。
モーリッツ:東京は大きな道路だと自転車が走るのは難しいかもしれませんが、裏道がたくさんありますから、あれは自転車にいいと思いますね。ただそれらの道がどこにつながっているか、なにか案内とかサインみたいなものがあればよいのでは?
X2:確かに東京は自転車サインが少ないですね。
モーリッツ:ぜひ、都庁に行って提案してみてください! それぞれの都市での試みについて、ぜひ情報交換したいですね。
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