ーー伊藤さんはそもそもどうして「ダンス」を始めたんですか?
「もともと踊ることが好きで、もっと自分がカッコよく踊りたいと思ってずっとやってきたんですね。でも、最近思うのは、ダンスってすごく優れたコミュニケーションツールなんだということ。大人を対象にしたダンスワークショップをやっているのですが、ダンスというツールを介することで、ダンス未経験の人でもスキンシップや身体で自分の思いを表現することができるんです」
ーースキンシップや身体でのコミュニケーションて、日本人にとってあまりなじみがないし、ハードルが高いですよね。
「そうですね。大事だということはみんななんとなく分かっているんですが、特に大人になると、はずかしいし、できない。ワークショップでも最初はみんなそうなんです。はずかしがってる。でも、みんなで同じ『言葉ではなく身体で自分の気持ちを表現する』という普段しない体験を共有することですぐに仲良くなるし、お互いすごい発散してるように見えるんです」
ーー感情がアタマを介さずにダイレクトに身体で表現されているという感じですかね?
「そうですね。最近って、指先だけでいろんなことができちゃうじゃないですか。
でも、身体全体を使えばもっと色々できるし、もっとすごいことができる。そういうみんなが忘れてしまっていることを、ダンスを体験することで思い出してほしいなと思うんです」
ーーそれは自転車も同じかもしれないです。自転車に乗ると自分が思ってたより自分が「スゴイ」ことに気づくというか、自分の力でこんな遠くまで行けるんだ!と感動させてもらうことがあります。
「そう。身体って思っているよりもっともっと『使える』んですよね。そのことに気づいて、自分の身体が『どこまで使えるのかな?』って考えるきっかけに、ダンスがなればと思っているんです」
ーー伊藤さん自身は、自転車ライフ、いかがですか?
「普段地元で乗ってます。周りの友達には週末に遠くに自転車で行くロードバイク乗りもいるんですが、私にとっての自転車は日常の移動手段のひとつ。日常のものだから、細い道で譲り合いたいときとか、前を歩く人をちょっと追い抜かせてもらいたいときとか、コミュニケーションをどうとったらいいんだろう……と思うんですよね」
ーーなかなかこちらの「意思」が表現しづらいですよね。
「ベルをちりんちりんならすのもなんだか……ね(笑)。バイクとかクルマは、教習所に行っていろんなルールを勉強するけれど、自転車ってそれがないから、ルールや『こういうときはこうする』という表現方法を共有できていない。なにかそういうものを共有できれば、もっとみんなが楽しい環境になると思うんです」
ーー先ほどはダンスと自転車は「カラダの可能性を再発見する」というところで共通点がありましたがコミュニケーションとなると、自転車はビハインドですね。
「ダンスはコミュニケーションツールそのもの。まあほとんど遊んでいる感じなんですけれども(笑)、ダンスというスキンシップは人と人の距離をあっという間に縮めてくれる。自転車の場合はコミュニケーション不在でルールだけがあると思うんです。だから、お互いに気持ちよくない。自転車に乗っている人同士も、自転車と車も、自転車と人も、みんながお互いに楽しくなるような『つなぎ方』、コミュニケーションがきっとあると思うんです」
ーー同じ「カラダ」を使うものなので、自転車もダンスのようにうまくコミュニケーションできればいいですね。
「お互いに楽しくなるようにつながって、みんなが気持ちよい環境を作るにはどうしたらよいのかな、ということはいつもダンスで考えていることそのものなんです。それを自転車に置き換えたらどうなるか……私自身、このプロジェクトで何ができるか楽しみにしています」
(text & interview photo: X2 TOKYO Project)