ーーこれまでにもいろいろなワークショップや展示を行なってきたなかで、assistantが意識していることはなんですか?
「(松原)実際に会場に行って得られる体験と、写真やテキストでまとめた記録を見て俯瞰でそれを理解することは、まったくレベルの違うものです。その場で体験して終わり、満足、というだけではイヤなので、記録を残したいという気持はあるんですが、以前とくらべて、最近はその場で感じてもらう感動や体験の強さに惹かれていて、私たちの作品を通して記録されないような体験をして欲しい、と思っているんです」
ーー今回のX2 TOKYO OPEN LAB.ではどんな「体験」をイメージしているんでしょうか?
「(有山)僕らは都市の生活の中に自分の痕跡を積極的に残すことを良しとしているんですね。それで今回は、自転車を通してのアーバン・アクション、都市活動をして、街に自転車のつくる空間の痕跡を残してもらえればと思うんです」
ーー人々が何かに気づいてアクションを起こす、その結果が、都市に痕跡を残すことになる。
「(松原)そうです。いつも日々の空間や街のなかで、びっくりすることや面白いこと、楽しい偶然にもっと頻度よく出会っていたいと思っているんですね。そういう街が面白い都市、良い街だと考えています」
ーーそういう街中で出会う面白いことやびっくりすることというのが、人が街に残した痕跡ということですね。
「(松原)その痕跡をその街やそこで暮らす人々の生きている、考えているということのサインみたいに感じているのかもしれません」
「(有山)僕らはコミュニケーションを大切に思っていて、他者との関係や距離など、どういう風に関わり合って生きているのかに興味があるんです。都市の公共空間に痕跡を残すということはその誰かに影響する、ノイズを入れるということ。ゆるやかに影響しあっているのが東京かな、と思います」
ーーゆるやかに、というと?
「(有山)意外と誰も街中のモノやコトを気にしない。もしなにか街を歩いていて違和感やズレを感じても反応がない。都市や他者に対して積極的にアクションを起こさない気がします」
「(松原)反応してアクションをとるって、疑ってみることだと思うんですね。『なんで?』と言うこと。でも、大人になると『なんで?』って減りますよね。みんなが納得していることに対して『なんで?』って言うことは、子どもが言うのと違って、責任が生まれます。それでも『なんで?』を堂々と言えるのは自由な大人だと思うんです。そういう大人の『なんで?』という言い方にはユーモアとかウィットがあって、他の人をびっくりさせたり楽しませたりする。グラフィティなんかも、そういう誰かのアクションの痕跡だと思うんです」
ーーさきほどのいい都市では面白いことに頻度よく出会えるということに戻りますね。都市と人と、あるいは人と人の距離が近くて、そういう『感じたこと』『考えたこと』『そこにあること』のサインが都市空間に残り、それがまた誰かに影響する、という。
「(有山)今回、自転車でやってみたいのは、そういう痕跡を東京に残すこと。ただ、東京はさっきも言ったように『ゆるやか』な影響でつながっているので、あまり大きなアクションをすると、かえってみんな耳を塞いでしまうので聞いてもらえない。だからぼそっと街中でつぶやくくらいのアクションがいいんじゃないかな、と思って。これがニューヨークだと逆で、大声で叫ばないとだれも聞いてくれないかもしれないですけど(笑)」
「(松原)アクションのもとって『気づき』だと思うんです。私たちの仕事って、そのきっかけとなる環境や状況をつくること。その中で、みんなが気づきを得て何かのアクションを起こしてもらえればいいなと思っています」
(text & interview photo: X2 TOKYO Project)