自転車が唯一奏でる「チリンチリン♪」という軽快なベルの音色。もっとも目につく位置にあるパーツということもあり、邪魔だから、格好悪いからという理由で外してしまっている、そんなライダーも少なくない。東京都をはじめ多くの自治体の交通規則において、ベルの整備されていない自転車の運転は禁じられている。ライトや反射板の装備と同様に、ベルも自転車には無くてはならない存在。ルールなのはもちろんだが、やはり愛車にはオシャレで自慢できるようなベルをつけたい! そのデザインや種類など、現在の“ベル事情”、いったいどうなっているのか? そこで、ユニークなデザインのベルを数多く手がけている、東京ベル製作所の社長、市村氏に、昨今のベル事情とベル開発の歴史について伺ってきた。
「弊社は60年以上ベル作りをやっているんですが、そもそものベルの原点というのは、皆さんが自転車のベルと聞いて想像する金属製の引き金がついた物でした。約20年ほど前からでしょうか、時代の流れとともに軽量化されカラフルになってきた自転車に合わせて、ベルも同様に開発を進めてきたわけです。軽量化のため素材は金属から樹脂に変わり、デザインもデザイナーに依頼して見た目にもこだわった製品作りへと変わっていきました」
金属製の無骨なフォルムから進化を遂げたベルは、外観はもちろん、360度どこからでも鳴らせる構造や小型化など、ニーズに合わせて開発が重ねられてきた。そんな中、〈TB-380 ロータリー・ベル〉が89年の(財)大阪デザインセンター選定 年間最優秀賞を受賞し、翌年には通産省選定 グッドデザイン中小企業商品賞を受賞。自転車のいちパーツでしかなかったベルのデザインが正式に認められたのだ。
海外でもそのユニークな外観と性能が認められ、現在では各国のサイクルショップなどで扱われている他、2009年からはMoMA(ニューヨーク近代美術館)ミュージアムショップでの取り扱いも開始。そのデザインと性能が世界で評価される中、海外の自転車ファンはどのような観点でベル選びをしているのだろうか。
「日本やアメリカではサイズの小さい物が人気で、ヨーロッパでは音が大きい物が好まれるんです。国によって好みが違うんで、面白いですよ。〈TB-880〉はアメリカでかなり人気が出て、出荷量も以前に比べてかなり増えましたし。しかし最近の日本ではレトロなデザインや大きめベルの需要が増えてきているみたいで。これまでは自転車につけたら重いということで敬遠されていたんですが、なんだか不思議ですよね(笑)。」
最近では海外企画のロードバイク用ベル開発に協力し、音響帯(音の出る金属の部分。通称“わん”)の開発をサポートしている。技術的にも評価され、現在も世界の自転車ベル作りの前線で活躍している東京ベル製作所。ものづくり大国日本が世界に誇るベル、愛車にもぜひ、ひとつ。
(text X2 Tokyo Project, photos Yoshihiro Miyagawa)
● 東京ベル製作所
http://www.tokyobell.co.jp/
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